2011年3月31日木曜日

映画『オーケストラ!』の感想

2011年最初の映画は『オーケストラ!』(※リンク先音楽注意!)でした。


【あらすじ】(allcinemaより)

名門オーケストラの元天才指揮者が、ひょんなことから昔の仲間を中心にオーケストラを再結成し、かつての栄光を取り戻そうと奮闘する姿をユーモラスに描 いた感動音楽ドラマ。主演はロシアを拠点に活躍するアレクセイ・グシュコフ。共演に「イングロリアス・バスターズ」のメラニー・ロラン。監督は「約束の旅 路」のラデュ・ミヘイレアニュ。
ロシアのボリショイ交響楽団で劇場清掃員として働く中年男アンドレイ。彼は30年前、この楽団で天才指揮者と持 てはやされ活躍していた。しかし、共産主義の当時、国がユダヤ人排斥の政策を強行、ユダヤ系の演奏家たちも例外なく排斥されることにアンドレイらは反旗を 翻したことから、解雇の憂き目に遭う。以来、再起の機会を窺いながら、冴えない現状に甘んじていた。そんなある日、パリの劇場から届いた出演依頼のファッ クスを目にしたアンドレイは、とんでもない考えを思いつく。それは、彼と同様に落ちぶれてしまったかつての仲間を集めて偽のオーケストラを結成し、ボリ ショイ代表として夢のパリ公演を実現させようという突拍子もない計画だった。こうして、タクシー運転手、蚤の市業者、ポルノ映画の効果音担当など、様々な 職業で生計を立てていた仲間が集まり、いざパリへと乗り込む一行だが…。

【感想】

  1. 良かったところ。
    1. 30年前に指揮棒を折られた男が、「自信」やら「究極のハーモニー」やら「仲間」やらの失った物を取り戻すべく偽のオーケストラを結成するという大博打を打つも、問題が起こる度「やっぱり自分には無理だ・・・」と諦めかけたりして、でもその度奥さんや親友の励ましを受けて立ち上がるという、ある種ベタな話なんですけど、見事な演技と演出と脚本で、ラストシーンにはとてつもない感動が得られるという。
      1. 負け犬が這い上がる映画としても胸を打ちます。
    2. 偽のオーケストラを結成してドタバタしていたけど最後には公演を成功させましたー、というだけでは感動はしない訳で。
      物語上重要な鍵を握る役としてのメラニー・ロラン演じるアンヌ=マリー。ラストの演奏シーンで、アンドレイ達との縁を理解してからの
      表情の美しさと
      瞳にうっすらと浮かぶ涙と
      今にも嗚咽が漏れだしそうな首筋の動きに
      もう泣けて泣けて仕方なかったです。(予告映像の1:40あたり)
      1. このあたり、過去と現在をうまく混ぜあわせて観客を飽きさせない演出は素晴らしいです。アンドレイのモノローグはあるものの、アンヌ=マリーに対して言葉で説明するということはなくって。言葉は交わさずとも伝わるという事自体が、アンドレイ達とアンヌ=マリーの強い繋がりを示していて。
  2. これはちょっと・・・というところ。
    1. ドタバタコメディ部分(特に一行がパリに行ってから)は、何度も繰り返されるので最後の方は「お前らもっとパリ公演に真剣に取り組めよ!アンドレイが不憫だよ!」と思って今ひとつ乗れなかったり。
      後から思うと、彼らもアンドレイと同じく、30年振りの公演ということで不安や恐怖に打ち勝てずに逃げてしまっていたんだなぁと。そこに届く1通のメールで皆の心が1つに!という展開は熱いと言えば熱いですね。
    2. ラストのシーケンスにて、偽オーケストラの未来が描かれるのですが、そこは「観客の想像にお任せします」というスタンスに留めておけば良かったのになぁ。自分としては「現在」と「過去」をもっと見ていたかったので、「未来」を描かれて鼻白んでしまいました。

ドタバタ部分はあっても最後の演奏シーンで「ブラボー!」と叫びたくなる素晴らしい映画なのでオススメです!


【関連リンク】

TBSラジオ『小島慶子キラキラ』での『オーケストラ!』の紹介。
※ネタバレ満載なので注意!
2011年01月04日(火) 神足裕司 ペラ☆ペラ
2011年02月15日(火) キラ☆キラ オープニング☆トーク


ラストの演奏シーンの完全ネタバレ動画。
もう見た人の追体験用に。